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背徳は蜜の味
第9章 人妻その九 ~映画館で痴漢されて~
翌朝、会社の上司に有給を使いたい旨を連絡すると、渋々だったが了承してくれた。
これで堂々と映画を見に行ける!
久仁子はなるべく地味な服装をして映画館に出掛けた。
チケットを買うときに、スクリーンの小さな部屋にも関わらず久仁子一人だけというのには驚いた。
『まるで貸し切りね』
これならば映画の官能的シーンに合わせて
少しぐらいあえぎ声を漏らしても大丈夫ね…
なんて良からぬ事を考えてしまう。
上映開始前になって会場内の明かりが消えた。
スクリーンには次回上映予定の作品の予告が流れる。
もう間もなく本編が始まるという時間に
ちらほらと観客が数名入室してきた。
きっと久仁子と同じように最終上映だと聞き付けて、駆け込んできた人たちなのだろう。
そんな時、一人の男性が久仁子の席に近づいてきた。
事もあろうか、その男性は久仁子の隣に腰を降ろした。
『まあ!他にもいくらでも空席があるのに
どうして隣に座るのかしら!』
場所を移動しようとしたけれど、
それではあからさまにその男性を嫌って席替えするようで、気分を害されるのも困ると思った。
それに、パーキングでもそうだが、
トナラーっているものだと久仁子は理解していた。
両サイドが空いていると落ち着かない人がいると聞いたことがあったので、その男性もきっと一人でポツンと座るのがダメな人なんだわと、特に気にもとめなかった。
本編が始まると、いきなりの濡れ場に驚かされてしまう。
ストーリーも何もあったものじゃなかった。
主演の男女には衣装が用意されていないかのように、ずっと全裸だった。