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背徳は蜜の味
第9章 人妻その九 ~映画館で痴漢されて~

『やだ…これってまさしくポルノじゃないの!』

R-18ということで
それなりに過激な描写だと覚悟していたが、
夫が趣味としてコレクションしているAVよりも激しい。
おまけにモザイクも薄くて、男性器が女性器にマジで挿入されているのさえ観てとれた。

不意に肘置きに添えていた久仁子の手が握られた。

『えっ?』

驚いて隣の男に視線を送ると
男もこちらを向いていてジッと久仁子を見つめていた。

『何をするんですか!』

男を非難する言葉を発しようとしたが
あまりにも驚いてしまって声が出ない。

「かなり過激な映画ですよね」

男は顔を近づけて久仁子の耳元で囁く。
それが久仁子好みのものすごい低音ボイスで
思わず体がズキンっとした。

「こういう映画って興奮しますよね」

久仁子の手の甲を撫でていた男の手は
いつしか指と指を絡めてきて恋人繋ぎを求めてきた。

席を替わろうと腰を浮かしかけたが、
男の指の動きが妙に心地よくて
力が抜けたようになり、その場を離れる事ができない。

「一人で見に来るなんて、あなた、セックスがお好きなんでしょ?」

ほとんど唇が耳に触れそうなほど顔を近づけてそんなことを言うものだから、男の吐息が耳への愛撫のように感じてしまう。
いや、実際に男の唇が久仁子の耳に当たり、そのせいで久仁子は体をビクンビクンと震わせた。

「ねえ、答えてくださいよ…
エッチが…好きなんでしょ?」

か細い声で「やめてください」と声を出したけれど、
かえってそれが男をを喜ばせる行為だったようで、
大胆にも彼の手は久仁子の胸を襲ってきた。
円を描くように揉み始めてきたので
思わず久仁子は「ダメよ…」と小さな声で拒んだ。

久仁子の胸は標準的と言えば聞こえはいいが、
手っ取り早くいうならばあまり目立たない小さな胸だった。

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