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幻影の胡蝶 〜桃源郷の寵妃達〜
第2章 桃源郷は地獄だった
「それがお前の愛する男の名前か?」

「?!」





朱雀は嫌悪感を隠さない目線を胡蝶に向けた。

その手には金色の玉が握られている。





(………中尉……じゃない?)





顔も声も自分が愛した男なのに。

目の前に居る男はまるで違う表情を胡蝶に見せている。





「……珍しい…お節介の舞鶴が何も話さなかったのか?」

ゆっくりと胡蝶に向かって歩いてくる朱雀に、胡蝶は思わず後退りした。

体を反らす胡蝶の腕を、朱雀が掴んで自分の方に寄せた。






さっきよりもハッキリと、その目が胡蝶を捕らえた。

黒い髪と少し赤みのかかった目の色は、見間違える事が無いほど愛しい男の姿だ。





だけどその目配せ方も、歩き方も、息を吐くタイミングさえも。

記憶の男とはほど遠くて、別人だと胡蝶に知らせる。





「…俺は四天王の中で唯一。心に決めた者が居るなら、その姿でその者の目に映る。」





どんな悪趣味だろう。

甘い夢を見せる為の桃源郷。

一時の夢を見ながら、愛する人と過ごして転生する。





何故ここが桃源郷なのか。

やっと胡蝶は分かった。





自分の未練を目の前の男で満たす事が出来たなら。

もう生前に思い残す事など何もないだろう。





そんな甘美な気持ちが芽生えそうになった時、朱雀の掴んだ手を触りそうになった。

しかし朱雀はそれに気がつくとすぐに胡蝶から手を離した。

そして背を向けて、また神殿の中に入って行く。






朱雀の姿を追っていると、その奥に更に人影を見た。

寝巻きの長襦袢を羽織っただけの女性。

黒く長い髪は下ろされていて、大きな瞳はまるで人形の様に美しかった。





その女人が桔梗だと言う事はすぐに分かった。





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