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天狐あやかし秘譚
第114章 天道是非(てんどうぜひ)
「では、もし御九里さんが目隠しをしていたとしたら、この消しゴムがある場所はどこですか?」
「同じだろ?」
そりゃそうだ。見ていようが、見ていまいが、消しゴムがある場所を誰かが動かさない限り同じ場所にあるはずだ。
「そうです。普通の物質は、『それが存在している場所』という『状態』は、観測者と無関係にこうして『確定』していると考えます。」
宝生前が消しゴムをいったん持ち上げて、とん、と同じ場所に置き直す。
「ところが、ミクロの物質は違います。『視る』という行為が重要な意味を持つんです。ミクロの物質の場合、誰かが視る・・・つまり観測するまでは、『存在している場所』という『状態』は、この辺りの空間に確率的に広がっていると考えるんです。」
宝生前が消しゴムをもう一度持ち上げて、最初にあった位置の周囲に転々と動かして見せる。
「そして、御九里さんという観測者が『観た』瞬間に、」
そして、すっと元の位置に消しゴムを戻した。
「こんなふうに、存在する場所という『状態』が『確定』するというわけです。」
なんだか不思議な理屈だ。見る前はどこにあるかがきちんと決まってなくて、観た瞬間にそれがひとつの場所に確定する・・・?そんな事があるんだろうか?
「さすが宝生前さんですね。そうです、私たちも同じように考えました。不確定性原理と呼ばれる、その量子力学の考え方は、おそらく『運命』にも当てはまるのです」
高森が再びキーボードを操作すると、画面に別の図が表示された。
画面左側にひとつの点があり、「A」と書かれている。そこから右手に向かって線が何本か枝分かれしている様子が描かれている。
「この点Aが現在だとします。そこから派生する可能性のある未来というのは実は多数あると考えられます。」
点Aから枝分かれして伸びていく線の一本一本が、それぞれ別々の『ありうる未来』だそうだ。
「通常の場合、点Aにいる私たちにとっては、これだけの多様な未来が用意されているわけです。それが偶然とか、人の選択とか、意志とか・・・そういう諸々のファクターによって時々刻々と未来が『確定』していく・・・そんな運命像です。」
「同じだろ?」
そりゃそうだ。見ていようが、見ていまいが、消しゴムがある場所を誰かが動かさない限り同じ場所にあるはずだ。
「そうです。普通の物質は、『それが存在している場所』という『状態』は、観測者と無関係にこうして『確定』していると考えます。」
宝生前が消しゴムをいったん持ち上げて、とん、と同じ場所に置き直す。
「ところが、ミクロの物質は違います。『視る』という行為が重要な意味を持つんです。ミクロの物質の場合、誰かが視る・・・つまり観測するまでは、『存在している場所』という『状態』は、この辺りの空間に確率的に広がっていると考えるんです。」
宝生前が消しゴムをもう一度持ち上げて、最初にあった位置の周囲に転々と動かして見せる。
「そして、御九里さんという観測者が『観た』瞬間に、」
そして、すっと元の位置に消しゴムを戻した。
「こんなふうに、存在する場所という『状態』が『確定』するというわけです。」
なんだか不思議な理屈だ。見る前はどこにあるかがきちんと決まってなくて、観た瞬間にそれがひとつの場所に確定する・・・?そんな事があるんだろうか?
「さすが宝生前さんですね。そうです、私たちも同じように考えました。不確定性原理と呼ばれる、その量子力学の考え方は、おそらく『運命』にも当てはまるのです」
高森が再びキーボードを操作すると、画面に別の図が表示された。
画面左側にひとつの点があり、「A」と書かれている。そこから右手に向かって線が何本か枝分かれしている様子が描かれている。
「この点Aが現在だとします。そこから派生する可能性のある未来というのは実は多数あると考えられます。」
点Aから枝分かれして伸びていく線の一本一本が、それぞれ別々の『ありうる未来』だそうだ。
「通常の場合、点Aにいる私たちにとっては、これだけの多様な未来が用意されているわけです。それが偶然とか、人の選択とか、意志とか・・・そういう諸々のファクターによって時々刻々と未来が『確定』していく・・・そんな運命像です。」

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