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天狐あやかし秘譚
第115章 妖異幻怪(よういげんかい)
ずっと御九里が思っていたことだった。自分がいなければ、母はあのひどい男からもっと離れることができた。自分がいなければ、母は生活費を稼ぐために結婚詐欺まがいのことを続ける必要がなかった。そして、自分がいなければ・・・
鬼になることもなかった・・・。
御九里は声を上げて泣いていた。
確かに死者は死の国に帰さなければいけない。それは百も承知だった。
でも、御九里は、母に優しく抱きしめられる中、もう少しだけ、もう少しだけこの懐かしい温もりに触れていたいと、思わずにはいられなかった。
闇が深くなる。
夜が明けるはずなのに、より深い闇に閉ざされていく。
しかし、御九里もまた、周囲の闇の濃度が変わっていくことに、気づくことはできないままだった。
閉ざされた夜が・・・朝に向かって更けていく・・・。
鬼になることもなかった・・・。
御九里は声を上げて泣いていた。
確かに死者は死の国に帰さなければいけない。それは百も承知だった。
でも、御九里は、母に優しく抱きしめられる中、もう少しだけ、もう少しだけこの懐かしい温もりに触れていたいと、思わずにはいられなかった。
闇が深くなる。
夜が明けるはずなのに、より深い闇に閉ざされていく。
しかし、御九里もまた、周囲の闇の濃度が変わっていくことに、気づくことはできないままだった。
閉ざされた夜が・・・朝に向かって更けていく・・・。

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