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天狐あやかし秘譚
第116章 疑心暗鬼(ぎしんあんき)
♡ーーーーー♡
【疑心暗鬼】疑う心があると、何でもない些細なことや実際には安全なことまで恐ろしく、または怪しく感じられてしまうこと。
絶対に何か裏がある、私、知ってるんだから!・・・みたいな。
♡ーーーーー♡
森の中に薄っすらと朝日が満ちていく。少し大きめの樹の幹に寄りかかっていた女性は、スマホのアプリにある通話相手の番号をタップする。
ルルル、ルルル・・・
2〜3回呼び出し音が鳴ったあと、目指す相手からの応答があった。
「お姉ちゃん?・・・うん、うん、大丈夫。・・・ああ、それなら今、目の前に転がっているけど?どうする?・・・わかった・・・そっちに行かせるわ・・・。え?あ、うん・・・分かった・・・」
ぷつりとそこで会話が途切れた。
樹にもたれている女の顔にも朝日が差していく。その顔は、スクセと瓜二つだが、目の下のほくろの位置だけが違った。
スクセは右目の下に、
この女性には左目の下にそれがあった。
つまりはこの女性はスクセではない。彼女は屋敷ではキヌギヌと呼ばれていた。本名は藤塚水有(ふじつか みゆ)というのだが、その名を呼ばれることはほとんどなかった。
緋紅を含めた屋敷の人たちは彼女のことを『キヌギヌ』と呼ぶ。姉である水無がかろうじて二人きりのとき『水有』と呼ぶだけだった。水有自身は姉のことを『お姉ちゃん』もしくは『スクセ』としか呼ばないので、姉の方が本名を呼ばれることは少ないのではないだろうかと水有は思っていた。
【疑心暗鬼】疑う心があると、何でもない些細なことや実際には安全なことまで恐ろしく、または怪しく感じられてしまうこと。
絶対に何か裏がある、私、知ってるんだから!・・・みたいな。
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森の中に薄っすらと朝日が満ちていく。少し大きめの樹の幹に寄りかかっていた女性は、スマホのアプリにある通話相手の番号をタップする。
ルルル、ルルル・・・
2〜3回呼び出し音が鳴ったあと、目指す相手からの応答があった。
「お姉ちゃん?・・・うん、うん、大丈夫。・・・ああ、それなら今、目の前に転がっているけど?どうする?・・・わかった・・・そっちに行かせるわ・・・。え?あ、うん・・・分かった・・・」
ぷつりとそこで会話が途切れた。
樹にもたれている女の顔にも朝日が差していく。その顔は、スクセと瓜二つだが、目の下のほくろの位置だけが違った。
スクセは右目の下に、
この女性には左目の下にそれがあった。
つまりはこの女性はスクセではない。彼女は屋敷ではキヌギヌと呼ばれていた。本名は藤塚水有(ふじつか みゆ)というのだが、その名を呼ばれることはほとんどなかった。
緋紅を含めた屋敷の人たちは彼女のことを『キヌギヌ』と呼ぶ。姉である水無がかろうじて二人きりのとき『水有』と呼ぶだけだった。水有自身は姉のことを『お姉ちゃん』もしくは『スクセ』としか呼ばないので、姉の方が本名を呼ばれることは少ないのではないだろうかと水有は思っていた。

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