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天狐あやかし秘譚
第117章 献身奉仕(けんしんほうし)
しかし、現実はどんどんと悪くなっていった。
3月に行われた市議会選挙で、父はもちろん落選した。
一応地元でナンバー2の政党の公認はもらえたものの、地盤もない、人脈もない、目立った成果や特徴もない人間が、いきなり入れるほど政界の敷居は低くなかったのだ。
ジジは言葉にこそしなかったが、更に父を冷たい目で見るようになった。ババはオロオロして二人の間をなんとかとりなそうとしたが、それが叶うことはなかった。
そして、心が弱かったのだろう。そんな現実から逃げるように父は酒に溺れるようになった。いきおい、母に八つ当たりすることが増え、同じ家なのに、ひどく殺伐とした雰囲気になっていってしまった。
私と水有は万が一の事を考えて、志望校のランクをひとつ落としていた。無利子の奨学金を借りられるようにというのが理由だった。入試の成績順にもらえる奨学金の権利を私は見事に掴み取ることができたが、水有は一歩届かず、Ⅱ種と呼ばれる有利子のものになっていた。
これがきっかけで、姉妹の間にも微妙な亀裂が入ることになった。
もともと面倒事があまり好きではない水有は、家の雰囲気が嫌、ということで、あまり家に寄り付かなくなった。私ももちろん居心地がいいとは思わなかったが、冷ややかになった家のバランスを少しでも取りたいと思って、努めて明るく振る舞おうとしていた。
まだ、このときの私は、父の再起を信じていたし、おそらく母もそうだったと思う。
だが、私の願いに反して、事態は『あの未来』に向かって、転げ落ちるように悪化していった。
3月に行われた市議会選挙で、父はもちろん落選した。
一応地元でナンバー2の政党の公認はもらえたものの、地盤もない、人脈もない、目立った成果や特徴もない人間が、いきなり入れるほど政界の敷居は低くなかったのだ。
ジジは言葉にこそしなかったが、更に父を冷たい目で見るようになった。ババはオロオロして二人の間をなんとかとりなそうとしたが、それが叶うことはなかった。
そして、心が弱かったのだろう。そんな現実から逃げるように父は酒に溺れるようになった。いきおい、母に八つ当たりすることが増え、同じ家なのに、ひどく殺伐とした雰囲気になっていってしまった。
私と水有は万が一の事を考えて、志望校のランクをひとつ落としていた。無利子の奨学金を借りられるようにというのが理由だった。入試の成績順にもらえる奨学金の権利を私は見事に掴み取ることができたが、水有は一歩届かず、Ⅱ種と呼ばれる有利子のものになっていた。
これがきっかけで、姉妹の間にも微妙な亀裂が入ることになった。
もともと面倒事があまり好きではない水有は、家の雰囲気が嫌、ということで、あまり家に寄り付かなくなった。私ももちろん居心地がいいとは思わなかったが、冷ややかになった家のバランスを少しでも取りたいと思って、努めて明るく振る舞おうとしていた。
まだ、このときの私は、父の再起を信じていたし、おそらく母もそうだったと思う。
だが、私の願いに反して、事態は『あの未来』に向かって、転げ落ちるように悪化していった。

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