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My hero(マイヒーロー)
第1章 My hero(マイヒーロー)
 3

「うん、でもね、わたしからしたらどっちも本気だし、マジなのよねぇ…
 決してそんな軽い『浮気』なんかじゃないのよ…
 本気なのよねぇ」
 と、目をキラキラと煌めかせ、そして満面の笑みを浮かべて言ってきたのだ。

「そうなんだ…」

 わたしには返す言葉がみつからない…

「うんそうなのよ、あのメジャーリーガーは正に、わたしの『ヒーロー』だし、アイドルグループはわたしの心の支えだしねぇ」

「ふぅん…」
 わたしは半ば呆れ、そんな母親に対して空返事をしながらふとリビングを見渡した。

 するとこのリビングの半分のスペースには今まで散々某アイドルグループの追っかをけし、その時に盛んに『推し活』として買い漁ったグッズが所狭しと飾られており…
 またもう半分のスペースには母親曰くの『ヒーロー』に認定され、その新たな『推し活』によって買い漁ったのであろう、その日本人メジャーリーガーのレプリカのサインバットやボール、ポスター等々が飾ってある。

 そして本人は、その『ヒーロー』であるメジャーリーガーと同じ背番号の付いたユニフォームを着て、テレビのLIVE中継を観て応援していたのだという…

「まぁ、本当にお盛んだこと…」
 わたしは半ば呆れ、ため息を付きながら呟いた。

 すると母親が…

「もぉ、コレがわたしの若さを保つ秘訣なのよっ…
 アンタもさぁ、そんな『推し活』したくなる様な『ヒーロー』やアイドルやタレントでもいいからさぁ、探しなさいよっ、じゃないとさぁ、どんどんフケ込んでいっちゃうわよぉ」
 そう言ってきたのだ。

「え、あ、いや…」

 わたしは…
『どんどんフケ込んでいっちゃうわよぉ…』
 と、云われたその言葉になぜか心が揺らいでしまう。

 そして母親は…
「どうせアンタはさぁ…
 男にでもフラれたんで帰ってきたんじゃないのぉ?」
 なんと、そんな鋭いツッコミまでをも入れてきたのだ。


「え…」

 本当はズバリ、その通りだったのである…






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