パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第1章 漂流者(drifter)

　4

　本当のわたしの姿は、いや、わたしは…
　中学１年生の春先５月から現在のこの３０歳までの約17年間登校拒否から始まった、引きこもりの女なのだ。

　この17年間にこの自分の部屋、この家の中というこの『密室』の空間の世界から外の世界へ出た事なんて…
　数回程なのである。

　中学１年生の春先…
『チビ』『デブ』『ブス』
　そしてそれらを合わせて…
『チブス』
　と呼ばれ、登校拒否に、いや、家の外に出られなくなってしまった。

　それから何回か外に出たのは病気による通院と…
『このままじゃいけない』
　という自分の心の中の危機感の囁きになんとか奮起をし、頑張って外に出たのだが…
　迫りくる青空と太陽の眩しさと、季節のニオイのする空気に圧倒され…
　まるでクルマ酔いみたいな状態の強烈な目眩と吐き気に襲われてしまったのである。

　そしてそれは18歳の時まで…
　それから約12年間、一歩も家の外には出ていない。

　だから…
　わたしは…
　わたしの『SNS』のプロフィールに表記してある…
　理想のモデル体型なんて真っ赤な、全くの『嘘』であり…

　本当の姿は…
　身長155cm
　体重95㎏
　とても人前には出られない醜い…
『チビ』『デブ』『ブス』の三拍子の揃った本当の『チブス』なのだ。

　そしてその自分の醜い姿と心の劣等感からのストレスを発散する為に…
　彩美(あやみ)という架空の人物を、いや、憧れであり、わたし自身の夢の人物を創り出し、このインターネットという虚飾の空間と、リアルな現実の融合、混在されたこの現実世界の中で漂流をしているのだ。

　いや、違うかも…
　こうしないと呼吸さえできずに、窒息死してしまいそうなのである。

　だからこの窒息死を避けるためにも、いや、生きる為に必死になりすまし…
　自己満足と承認欲求を満たし…
　呼吸をしていく。


「ううん…どうしよう……」
　
　この世界で生きていく為にも…
　なんとしても『SNS』と、この官能小説を書き続きていかなくてはならないのだ。

「うーん…」
　だからわたしはパソコンで人妻系ＡＶ動画を再生し…

「そうだ、アレを…」

　大手通販で親のクレジットカードで買い取り寄せ、愛用している、いわゆる『大人の玩具』の新型バイブを手にとり、下着を脱ぎ、そして…

「あぁ、ううん、はぁぁ…」