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雨が好き
第111章 お祈り
その御神木を私も見上げる。
「大きい・・・これって、どのくらいここにあるんだろう?」

その樹は威風堂々というよりは、
ところどころ節くれだっていて、あちこちが苔むしていて
それでも、左右に大きく枝を伸ばしている。
その様子はまるで、ずっとそこにいて、
みんなを見守っているおじいちゃんみたいだって
そんなふうに感じた。

確かに、神様ってこういうイメージなのかもしれない

ぺこり、と私は御神木に向かって頭を下げた。
蒼人さんもその横でそっと頭を下げる。

さっきもそうだった。
ちらりと蒼人さんの横顔を見る。
長い睫毛を伏せて、真剣にお祈りをしていた。

それを見てたら、一体何をお願いしているのかななんて、ちょっと気になってしまう。
その時、蒼人さんが顔を上げたので私は、
慌てて顔をまた御神木の方に向けた。

じっと見ていたの、バレてないよね?

もう一度、ちらっと見る。
その視線に気づいた蒼人さんが、ほら見て、と、樹の上の方を示した。

「あそこの窪みの所、ハートに見えるでしょ?
 だからここ、縁結びのご利益があるって言われているらしいですよ」

ホームページの受け売りですけどね、と言って笑う。

確かに、ハート型に見える。
それに、蒼人さんに言わせると、葉っぱもハート型、だそうだ。
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