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縄奴隷に堕ちる
第2章 緊縛
 待合室からさらに奥の部屋との間は、黒いレースのカーテンで仕切られている。そしてその奥の部屋が、実際に行為をするプレイルームになっている。カーテンがレースだということは、その部屋の様子が何となく待合室からでも読み取れるという事だ。もちろん声を上げれば聞こえる。そのようにして待合室の会員たちと、プレイしている空間を微妙に交わらせる事で、待っているだけの会員たちもプレイに参加しやすくなるという訳だ。
 プレイルームは仄暗く、床はフローリングで、工事現場で使うような足場のパイプが組んである。そのパイプには縄がかけてあり、大きな鏡、反対側にはベンチプレス用の低い長椅子のような物もある。男は卓也を部屋の片隅に立たせると、掛けてある縄を一束つかんだ。
「経験はあるのか?」
「少しだけ……。でも、優しくして下さい」
 本当は、卓也は毎月2回ぐらいはここに通っているので、少しだけとは言えないくらいの経験はある。しかし、相手の技量もわからないので、聞かれた時には、卓也はいつもこう答えるようにしていた。
「そうか、ふふふ……」
 男は卓也の後ろに立つと両腕を後ろに回し、手首をまとめて縛り始めた。その縄を前に回して、胸の上と下に水平に縄をかけていく。いわゆる後ろ手しばりで、女性なら乳房が絞り出される縛り方だが、男性だといまいち物足りない感はある。しかしそれなりの拘束感はあるので、卓也はじょじょにマゾの気分が高まっていった。男が後ろから卓也を抱くようにして、フンドシに包まれた股間の辺りを優しく撫で始める。やがてその手は、フンドシの下にスルッと入ってきた。
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