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年の離れた妹
第1章 帰省
翌朝、昼前にやっと完全に目が覚めた。朝になり一度、台所からごそごそする音で目を覚ましたが、強い睡魔にそのまま二度寝をしていた。起き上がると、僕は自室を出てトイレにいこうとした。その途中、誰もいないマンションの台所のテーブルに、朝食が用意されていることに気付いた。簡単なサラダと果物だけだったが、横にメッセージが添えてあった。そこには、兄ちゃんありがとう、出掛けますとあった。そして余白に、真っ赤な口紅のキスマークがあった。妹が小さな頃よく手紙をくれたことを思い出し、僕は思わず笑顔になっていた。

僕はトイレに向かい、洗面所で顔を洗った。そのとき自分の顔に、キスマークがあることに気付いた。僕の頬と唇に幾つか、恵津子の唇の痕跡が残っていた。僕は驚き、そしてまた少し興奮を感じていた。急いで顔を洗うと、僕はそのまま妹の部屋に向かった。鍵はされておらず僕がドアを開けると、部屋中に恵津子の匂いが広がっていた。

妹が小学生以来のその部屋は、昔とほとんど同じだった。しかし化粧品や雑誌、置いてある小物や衣類は当然、若い女性そのものだった。そのギャップに、僕は前夜の妹の涙の意味を考えていた。恵津子は既に大人の女性になり、僕だけの可愛い妹ではなくなっていた。そして僕も妹としてだけでなく、恵津子を一人の女性として意識していた。僕はベッドに近づくと腰を下ろし、ゆっくり身体を横たえた。布団や枕から、恵津子の甘い匂いがしていた。
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