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第3章 女中　千勢（ちせ）

　「かしこまりました。それでは、このままお風呂場に行っていただいて、ゆっくりお湯に浸かっていて下さいまし。このお荷物をお部屋に入れた後で、着替えをお持ちします。」

　富田は、言われるままに、広い湯船で手脚を伸ばしてくつろぎ、脱衣所との仕切りのガラス戸越しに、電燈の灯りをぼんやりと眺めながら、この3週間ほどの上海への旅を想い返した・・・。