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東京帝大生御下宿「西片向陽館」秘話~女中たちの献身ご奉仕
第3章 女中 千勢(ちせ)

そして、中身を見て、 「まあ・・・、これは洋装の下着でございますか。」 と驚いたように大きな声を出し、顔を赤らめた。富田は、 「そうだよ。もう一つには、メイド服と言ってね、西洋の女中さんの仕事服が入っている。早速だが、それに着替えてくれないか。千勢によく似合うと思って、上海のイギリス租界の婦人服店で買い求めたんだよ。父親の所のね、千勢に体型のよく似た女中さんに内緒で助けてもらってね。」 と言いながら、微笑んだ。
千勢は、袋を大事そうに胸に抱えて、「次の間」に小走りに駆け込むと、襖の陰で着替えを始めたようだったが、しばらくして衣擦れの音が止まり、やがて襖から顔だけを出して、 「ご主人様。うまく着れないのですが。」 と、可愛らしく舌を出した。富田は、思わず笑い声を出しながら、 「じゃあ、手伝おうか。恥ずかしがらずに、こちらにおいで。」 と手招きすると、千勢は、まだ腰巻を巻いたまま、下着やメイド服を腕に抱えて胸を隠し、おずおずと富田の前に立ち、困った顔をした。

