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第9章 ８月

無表情に立つ遥が頭の後ろに手を当て、髪留めを外し
長い黒髪が一度に音を立てる様に　体に落ちて
顔を上げた遥が満面の笑みを見せた　
沢入は遥を見て首を振る、沢入の首を振る姿に、
遥は少し悔しそうな表情を浮かべ、
俯いた後、両の手で顔を覆い、幾度か動かし
顔を上げた、　目をキラキラとさせ満面の笑みがそこに

「　見たか！？　この娘は　演技を学んでも居ない
　　芝居や演劇を学んだ事もやった事も無い娘だ！！　」

「　確かに私が　アドバイスを与えた事は有る　　
　　しかし表現するのは　彼女だ　判るか？　」

遥の表情に若者たちは驚愕の表情を浮かべ
項垂れた、遥は沢入の傍に歩み寄り
耳元で何か話しかけ、沢入はカレンダーを眺め
顔を顰め、暫く考えた後、

「　7時から　もう一度　」

沢入は若者たちを見て　言い放ち
若者達が頭を下げ、部屋を出て行った