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第9章 ８月

「　明日・・・　」

遙は長い髪を揺らして、ドアを出て行った
残された綾乃は、椅子を沢入の前に置き
横向きに　腰を降ろして沢入に顔を向け
頷く沢入の顏を横目で見て、前を向き
目を動かして見せ、沢入の首が横に動く
何度か繰り返し　その度に　首は横に振られ

頭の中　色々な事が駆け巡り　先ほどの
遥の笑顔を思い出して、何処が？違う？
遥の表情、仕草、同じ笑顔？？？

・・・目！？・・視線！？？・・・・

目を閉じて先程の姿を頭の中思い描く
手で顔を何度も擦り、手を外した時の
目の輝き、・・・　綾乃は思い描いた事を
頭の中で思い込み　

・・・先生・・今夜・・・・

心の中思い描く思いを、視線に込め
流し目を送った

「　少しは・・判ったようだな　」

綾乃の視線を受け止め、沢入は頷き
立ち上がると、部屋の隅からビデオを
綾乃の前に置き、スイッチを入れた

「　体の力を抜いて、私の声に耳を・・・　」