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コンビニバイトの男の子
第9章 雨
萩子から肯定する返事を聞いて、悠希は手にしたアイマスクで目を覆いました。
(ほんとに何も見えないんだ)
隙間から照明の灯りが判るだけで、完全に視界が遮られます。
「あっ」
悠希が手に触れてきて、躰がびくっと反応してしまいました。その手に何かを巻き付けてきます。
「えっ?悠希くん、何してるの?」
「外さないように、バスローブのベルトで拘束させてもらいますね」
「拘束って・・・」
こんなことまでされるとは思っておらず、不安に鼓動が速くなります。
「そんなことしなくても、外さないから」
「あくまでもふり、ですよ。すぐ取れるでしょ」
確かにそれ程しっかりと結ばれた感じはせず、手を捻ったら抜けそうではありました。アイマスクも外そうと思えばできそうです。
「でも、取ったら駄目ですよ」
「ちょっと怖いけど・・・、あっ」
悠希が肩を抱き寄せました。パジャマ越しに手の温もりが伝わってきます。
「大丈夫。僕を信じてください」
暗示に掛けられたようにすーっと不安が薄れていきました。その代わりに、待ちに待った躰を満たしてもらえる期待に胸が高鳴ります。
「僕だけを、感じて」
「はい」
その言葉が耳に心地よく、萩子は素直に返事をしました。
悠希に暫く肩を抱かれていた後、また唇を塞がれます。
(なんで?さっきのキスよりも感じちゃう)
回数を重ねて脳に刻み込まれている悠希の唇の感触ですが、目を瞑っているのとは違い、アイマスクで視界を遮られていることが影響しているようでした。肩に置かれていた手が、背中から腰、お尻へと這い回ります。その感触も、今までとは違って敏感に感じました。
「ん、んっん」
(もっと、悠希くんを感じたい・・・)
今度は萩子の方から、悠希の唇を舌でこじ開け、口内に挿し入れ、絡めます。
もう、場所も、状況も、頭から消えていました。
再びし始めた、舌を吸い合うぴちゃぴちゃという音もさっきより鮮明に聞こえてきます。興奮で荒くなった鼻息も混ざってきました。
「ぷはあぁ」
唇が離れた瞬間の萩子の激しい息遣いが、キスの濃厚さを表しています。
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