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コンビニバイトの男の子
第9章 雨

【7】
貴之はアイマスクを着けてベッドに横になった状態で、どきどきしながら時間がすぎるのを待っていた。
事前に打ち合わせていた通りに“準備完了“のメッセージを送ってからは、何時悠希が来るのか気になり、じっとしているのが辛くなってきている。
(段取り通りに進んでるんだろうか)
メッセージ送信後は悠希から萩子へ電話することになっていたが、ちょうどその頃、萩子は洗濯物をしまいに寝室に来ていたのである。不安から階下の様子をドアの近くで窺っていた貴之は、萩子が階段を上がってくる音を耳にして、慌ててベッドに戻り、寝ていることを確かめる萩子をやり過ごして事なきを得ていた。
(ここで見つかったら、2ヶ月の準備が全て水の泡だからな・・・)
それからは、おとなしく聴覚だけを頼りに様子を覗い続けている。時折作動するエアコンの空気を吹き出す音以外に、自分の息遣いと、鼓動と、躰が揺れ動いて起きる衣擦れの音だけの世界が続く。身じろぎもせずじっとしていると、何度目かの疑問がまた頭に浮かんできた。
(シュウは、鮎川君をほんとに家に入れるだろうか)
まず最初にその山を超えないとその先に進まないのだが、自分が居るのに不倫相手を家に入れる危険を侵すとは思えなかった。
しかし、思い返すと悠希への萩子の対応は最初から予測を覆してきている。
(やっぱり今回も・・・、いや今回は・・・)
気持ちが揺れ動く中、新たなざわめきの音が階下から聞こえてきた。
(来たっ!)
微かに男女の会話らしき声は判ったものの、内容までは判別できない。やがてパタパタという足音が何度かして再び静かになった。
(どうなったんだ?)
様子が判らずじりじりしていると、手にしていたスマートフォンが振動した。アイマスクをずらして、画面を確認する。悠希からだった。
《山田様:潜入完了》
アプリを起動する。自分が送った簡潔なメッセージに続く文言が、緊迫感を醸し出していた。
(今回も、だったか)
貴之はアイマスクを着けてベッドに横になった状態で、どきどきしながら時間がすぎるのを待っていた。
事前に打ち合わせていた通りに“準備完了“のメッセージを送ってからは、何時悠希が来るのか気になり、じっとしているのが辛くなってきている。
(段取り通りに進んでるんだろうか)
メッセージ送信後は悠希から萩子へ電話することになっていたが、ちょうどその頃、萩子は洗濯物をしまいに寝室に来ていたのである。不安から階下の様子をドアの近くで窺っていた貴之は、萩子が階段を上がってくる音を耳にして、慌ててベッドに戻り、寝ていることを確かめる萩子をやり過ごして事なきを得ていた。
(ここで見つかったら、2ヶ月の準備が全て水の泡だからな・・・)
それからは、おとなしく聴覚だけを頼りに様子を覗い続けている。時折作動するエアコンの空気を吹き出す音以外に、自分の息遣いと、鼓動と、躰が揺れ動いて起きる衣擦れの音だけの世界が続く。身じろぎもせずじっとしていると、何度目かの疑問がまた頭に浮かんできた。
(シュウは、鮎川君をほんとに家に入れるだろうか)
まず最初にその山を超えないとその先に進まないのだが、自分が居るのに不倫相手を家に入れる危険を侵すとは思えなかった。
しかし、思い返すと悠希への萩子の対応は最初から予測を覆してきている。
(やっぱり今回も・・・、いや今回は・・・)
気持ちが揺れ動く中、新たなざわめきの音が階下から聞こえてきた。
(来たっ!)
微かに男女の会話らしき声は判ったものの、内容までは判別できない。やがてパタパタという足音が何度かして再び静かになった。
(どうなったんだ?)
様子が判らずじりじりしていると、手にしていたスマートフォンが振動した。アイマスクをずらして、画面を確認する。悠希からだった。
《山田様:潜入完了》
アプリを起動する。自分が送った簡潔なメッセージに続く文言が、緊迫感を醸し出していた。
(今回も、だったか)

