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コンビニバイトの男の子
第9章 雨
「・・・お願いだから、リビングに」
その言葉で、貴之が居るにもかかわらず別の部屋であれば躰を許そうとしているのが判る。
(夫の僕が居るのに、もうシュウは彼とセックスしたがっているのか!)
自らの望みであったが、さすがに萩子もそこまでしないのではと思ってもいた。これまで貴之が不在の時だけに限って逢瀬を重ねてきた。貴之が気付くような痕跡を残していたことは、1度たりとも無い。今、この状況で、貴之が目を覚ましたら終わりである。聡明な萩子がそのリスクを冒すとは到底思えなかったのだ。
しかし、その予測を裏切る萩子の言葉に、貴之は愕然とした。悠希のシナリオに沿って進んでいることにも、理不尽な怒りが湧いてくる。その一方で男根は痛いくらいに勃起し、この展開の先を望んでいることを主張していた。
「あっ、いいものあるじゃないですか」
萩子が使う隣のベッドに人が近付く気配がする。事前の打ち合わせで用意していたアイマスクを取ったようだった。
「何も見えなくなっちゃう・・・」
「貴之さんのこと、気にならなくなるでしょ」
「うん・・・」
その会話で、悠希が萩子にアイマスクを着け、萩子の視界が遮られたことが解る。
(あとは・・・)
「えっ?悠希くん、何してるの?」
想定外の声が耳に飛び込んで来た。シナリオには、萩子が驚くようなことは書かれていない。
(何をしてるんだ)
その疑問は、悠希の声で明らかになった。
「バスローブのベルトで拘束させてもらいますね」
(手を拘束したのか・・・)
この計画を立てた時、3人が一堂に会した後で萩子がアイマスクを外さないようにどうするかが、ポイントのひとつだった。
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