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コンビニバイトの男の子
第9章 雨
快感を求める声に、悠希がにやついた嗤いを貴之に見せる。
「貴之さんと僕、どっちのセックスが良いですか?」
「・・・そんなの言えない」
(ああっ、シュウっ!)
それが答えになっていた。絶望が広がる。しかし、寝取られ気質が更に決定的な言葉を待ちわびていた。
それを、悠希は解っていた。
「言わないと、止めますよ」
愛撫の手を止める。
「あっ止めないで」
「正直に言っていいんですよ。僕は萩子さんの感想を知りたいだけですから」
貴之が妻の口を注視する。
(何て言うんだ?)
もう決まっている答えを、悠希が引き出そうと詰め寄る。
「教えてくれたら、愛撫を続けてあげます」
悪魔の囁きが、脳内に築き上げてきた貴之の妻という貞操観念を溶かし、消し去る。
「悠希くん」
剥き出しになった快楽への欲望に、最愛の妻が堕ちた瞬間だった。
どくんっ!!
貴之の心臓が震える。
「誰の何?」
「悠希くんのセックス」
「貴之さんよりも?」
悠希が畳み掛ける。
堰を切ったように、淫らな想いが次々と萩子の口から溢れ出た。
「貴之さんよりも悠希くんのセックスの方が良いの。悠希くんが初めて逝かせてくれたの。凄く気持ちよかった。潮吹きもクンニも初めてだった。恥ずかしかったけど、気持ちよかった。全部、全部悠希くんが教えてくれたの。貴之さんは教えてくれなかった。全然違うの」
生々しい性への欲が次々に吹き出す。
「貴之さんじゃなくて悠希くんとセックスしたい。フェラだって精子飲むのだって、悠希くんだからしてあげたくなったの。もっと気持ちいいことしてあげたい。もっと気持ちよくして欲しい」
聞きたかった聞きたくない言葉が、貴之の鼓膜を揺さぶった。
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