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コンビニバイトの男の子
第10章 耽溺
この願望を思いついてから、貴之は迷い続けていた。実現させるためには、悠希以外にもう1人の男性を探さなければならなかった。悠希に相談した場合、同じ大学の友人を選ぶ可能性が高かった。1番の可能性は、コンビニのバイト仲間の松友だった。イケメンで女性に人気があり、女性の扱いにかなり慣れていそうな松友と関係を持たせることには、抵抗があった。大学で変な噂が広まるのも怖かった。ただ、他に貴之の周辺で適任者は考えつかなかった。仕事の関係者や、ネットで見ず知らずの男性を探すことは論外だった。
一方、こうして適任者が見つからないことで、萩子を更に堕としていくことになる願望の実現を踏み留まれていた。
しかし、思ってもいなかったすぐ側で見つかってしまった。
同時に引越してきた日、恥ずかしそうに挨拶した可愛い男の子。萩子に懐いていた少年。そして、萩子に恋心を持ち続けたまま、青年へと成長した真沙人が。
(もしかしたら、初めて会ったときから、こうなることが決まっていたのか?)
思い返すと、悠希がバイトするコンビニを見つけたのは、気分転換でウォーキングの帰り道を変えようと貴之が提案したからだった。そもそも今の家に決めた経緯も、通勤の便利さから駅近のマンションを望んでいた萩子を説得して、駅から少し離れても郊外故の広さと隣の家との距離感の良かった今の家に貴之が決めたのだった。その隣家に眞沙人が住んでいた。
(これが、天命か・・・)
「真沙人だったら、萩子さんも受け入れてもらえると思うんですよね」
「シュウも受け入れる・・・」
唐突な悠希の言葉の意味が解らず、貴之がオウム返しに呟く。
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