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夜に咲く名前のない恋人達
第11章 売上バトル
「いらっしゃいませ。姫様」

入り口で待っていた黒服が、姫を店内へ迎え入れる。

ぷりんもそのまま続いて店内へ行こうとした時、姫の甘い声が聞こえてきた。

「ねぇ?今って司とVIPルーム使える?」

「はい。姫様。今はVIPルーム空いております」

「じゃあそっちでお願いねっ」

黒服に案内される姫についていこうとすると、もう一人の黒服に止められた。

「ぷりん様ですね。こちらへどうぞ」

ぷりんは戸惑いながら、黒服に案内されたテーブルへ移動した。

ホストクラブのVIPルームは、司と姫が個室で二人きりになれる特別な空間であり、そこには他のホストも出入りしない。

私……

一人なんだ……

高級感あふれる内装、シャンパンの甘い香り、華やかに笑うホストの声。

何度か来ているはずなのに、やっぱりこの空間には慣れない。

「ぷりん様。ご指名はありますか?」

「あっ……響さんで……」

「呼んできますので、少々お待ちください」

売上バトルの最中なので、ホスト達はみんな忙しい。

響が来ない間、新人のシュウがヘルプで来てくれた。

ルカや響と同じチームとわかる柔らかい表情のシュウ。

「ぷりんさんって好きな男のタイプってどんな人っすか?」

「えっと……優しくて可愛い人かな……」

するとシュウはぷりんを見つめてくる。

「俺じゃないっすかっ!!運命感じちゃいませんか~?」

新人のこのノリ。面倒くさい。

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