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夜に咲く名前のない恋人達
第11章 売上バトル
「まさか写真撮られてるなんてな? 拡散されて、ビックリしたよな?」

「うん………」

SNSで炎上してしまったとき、ぷりんは必死に謝罪文を考えた。

マネージャーからも連絡が入り、最悪、アイドルを辞める事になる。とさえ思った。

ぷりんは指先をぎゅっと握りしめながら、小さく頷いた。

「……迷惑かけてごめんなさい……響さんが、実は女の人だったなんて知らなくて……」

「は?」

響は一瞬ぽかんとした顔をしてから、吹き出すように笑った。

「嘘に決まってんだろ?ルカにあんな事をして、許せないかも知れないけど、姫がぷりんを助けるために、そう言えって言ったんだ」

「……え……?」

呆然とするぷりんに、響はグラスを揺らしながら続ける。

「それにしても、姫ってすげーよな。瞬時にそんな大嘘で通すんだからな?」

「……姫先輩は、どうしてあんなことを……?」

「さぁな」

「……でも、そんなことしたらお客さん減るんじゃ……」

響はぷりんの心を見透かしたように、クスクスと意味深な笑みを浮かべる。

「心配すんなよ、むしろ増えたから」

「え……?」

「ホストが実は女だった。なんて、こんな面白い話、みんな気になるだろ?」

「まぁ……そうかも知れないけど……」

ぷりんの心はざわつく。

「まぁ、これまで来てくれてる客には説明できるし、新規には……」

そう言いながら、響は身を乗り出す。

「男か女か……試してみる?って口説けば、面白いように堕ちるからさ?アハハハ」

冗談めいた響の笑い声に、ぷりんは思わず大きな声を出した。

「えーーーっ!!」

「新しい特技ができていいだろ~?」

ぷりんは真っ赤な顔になって俯いてしまう。

「……そ、そんなの……」

「なぁ……ぷりんも試してみる……?今からホテルで……」

響の低い声が、妙に耳に残る。

彼の目が、からかい半分。しかしどこか挑発的に笑っていた。

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