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夜に咲く名前のない恋人達
第11章 売上バトル
「あっ……」

ぷりんは思わず体を強張らせる。

ルカや響の軽口に慣れているはずなのに、今の囁き方は妙に生々しく聞こえた。

それに、夢の中の響で頭がいっぱいになる。

「私には……ルカくんがいるので……」

響は一瞬だけ口元に指を当て、それからクスッと笑った。

「じゃあルカが帰ってきたら、1度だけお祝いで試してみる?」

「ダメです……」

ぷりんは顔を伏せながら、膝の上でぎゅっと拳を握りしめると、響が面白がるように顔を覗き込んでくる。

「ちょっとドキドキした?」

「ち、違います……もう……響さんの意地悪……」

「ふーん…違うんだ?」

ニヤリと笑う彼を前に、ぷりんは居心地が悪くなりながらも、なんとか話を戻そうとした。

「それより……響さん、本当に大丈夫なんですか?変な勘違いとかされませんか?」

「されたよ、めちゃくちゃ」

響は悪びれもせず、笑ったまま。

「でも、結局みんな興味本位で会いに来るからな。『実は女かもしれないホスト』って、話題性は抜群だったからな?」

「ごめんなさい……」

「あんまり気にすんなって」

響はそう言って、グラスの氷を揺らしながら口元に運ぶ。

「ただ……」

ふと、真剣な眼差しでぷりんを見つめる。

「姫には気を付けろ」

「え……?」

「アイツは司側の人間だ。何を考えているかよくわからないからな」

響はそんな忠告を付け足した。

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