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夜に咲く名前のない恋人達
第11章 売上バトル
最初から姫が敵側だとわかっている。

司に言われて、監禁されたルカに抱かれるような人。

それでも、ぷりんを炎上から救ったのも事実。

だから「気を付けろ」と言われなくても、わかっているが困惑してしまう。

「本当に何を考えてるか、わかんねぇな。姫ってさ」

響は呟くように言いながら、グラスを傾ける。

その時だった。

店内にマイクの声が響いた。

「これより本日のラスソン行います。キャストは全員集まってくださいっ!!」

振り向くと、司と姫がVIPルームから出てきた。

その後ろを、司チームのホストがぴたりと従っている。

「響さん……? いったい何が始まるの?」

「ん? あぁ……ラスソンだよ」

響は軽く笑いながら、グラスをテーブルに置いた。

ラストソング。

ホストクラブの営業終了前、最も売上を上げたホストが店の中央で歌う時間だ。

そのホストに最も貢献した姫が、今夜の主役として迎えられる。

ぷりんが戸惑っている間に、司と姫が中央にあるメインの席に座った。

周囲にはホストたちがずらりと並び、まるで姫を女王のように取り囲む豪華な宴が始まろうとしていた。
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