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夜に咲く名前のない恋人達
第11章 売上バトル
ぷりんのチェキ列には、10数人のファンが並んでいた。

その列の最後には、麗香が並んでいる。

ぷりんの顔が引きつった。

麗香さんがいなかったらいいのに……

なんて甘かった……

ぷりんは麗香を見ないようにしながら、目の前のファンとのチェキ撮影をこなしていく。

「ぷりんちゃん、今日も可愛かったよ~」

「ありがとうっ!!」

いつものように笑顔を作るが、視界の端に麗香が映るたびに、胸がざわついた。

そして麗香の番が回ってくる。

麗香がゆっくりと、ぷりんに寄ってくる。

「お疲れさま、ぷりんちゃん」

うっすらと微笑む麗香の笑顔は、どこか不気味さを感じる。

ぷりんは無理して笑顔を作った。

「ど、どうも……今日は、わざわざ来てくれて、ありがとうございます……」

「ううん。ぷりんちゃんの事を応援してるから」

「えっ……?」

意外な言葉に、一瞬、混乱する。

しかしすぐに麗香は、意味ありげな笑みを浮かべた。

「ねぇ、ぷりんちゃん。ルカと仲良くしてる?」

ドキッと心臓が、大きく鳴り響く。

これが姫先輩の言ってた嫉妬……?

担当ホストが他の女の子と仲良くしてるのが、許せないってこと……?

ぷりんは正直に今の状況を話した。

「連絡取ってません……アイドルとホストが一緒にいるなんてダメだって、言われてるんで……」

「ふーん。でもあなたがルカのために頑張ってるのはわかってるわ……お金は用意できたのかしら?」

アイドルは日払いではない。

お金なんてすぐに用意できるものでもない。

「いえ……お金を用意なんてできません……」

ぷりんの声はかすれていた。


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