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獄中婚
第1章 1
仕事が終わった時にはもう時計に針が12を過ぎていた、その日はライブだったこともあってか満員でサイン会もチェキ会も長蛇の列ができていてキャストはクタクタになるまで働いていた。
「そういえばストーカーにあったってほんと?」
「ほんとだよ....もう災難すぎない」
「可哀想すぎる!今日は普通に家に帰るの?」
「ううん、ホテル泊まる予定-」
「まあそうだよね...佐藤さん、あゆちの家に入り込んでたりしそうだもんね」
「まじかあ、そこまでとは思わなかったわ」
「いやいや、鈍すぎだよ。チェキ会の時ずっとあゆちの顔ニヤニヤしながら見てたじゃん」
「いや、そんなのどの客も一緒でしょ」
「それはそうか」
偶然話しかけてきたりんと勤務終わりに話していた。りんは私の1個下でルックスもダンスも歌も上手いがやる気が無さすぎて売れる気配は無い、その上遅刻、欠勤が多いためライブには出れない。店長はこの店の初代コンカフェ嬢で初めてこの店のステージに立った人だ。だからかライブにかけている想いもほかとは段違いなのだ、だからかりりのことは過小評価している。私的には磨けば輝く原石だと思うのだが。
「とりあえず大事にはしたくないから、出禁かなー」
「わかるー。でもそういう奴ってすぐSNSに書き込まない?」
「いやマジそれな、理不尽に出禁にされたーってすぐ書き込むよね」
「まじうざいわー」
うちの店は出禁になる率が高い、どれは店長がキャストを守るという信念を持って作ったルールがしっかりとあるから、もちろん今回のことで佐藤さんも出禁だろう。
「あゆち、帰る準備できた?」
「あ!店長〜お疲れ様です!」
「りり、おつかれ。気をつけて帰るんだよ」
「えー冷たい!りりも送って欲しい」
「ストーカーされたら送ってあげるね」
「わかりました!頑張ってファン作ります!」
「はーいお疲れ様。」
足早に出入口に向かって行くりりを見送り私と店長も店を出る準備をした。
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