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感情の欠片
第2章 進学
大学生になって初めての相手は、バイト先で出会った男だった。
居酒屋のバイト仲間で、感情が豊かというよりは、冷静に仕事をこなすタイプに見えた。
ただ、性欲には正直だったらしい。

いつも胸に注がれる視線を感じていた。
目が合うと、彼は慌てて視線を逸らす。
むっつりスケベな性格なのだろうか。

こちらから軽くアプローチしてみると、彼はあっさり乗ってきた。
いや、彼からすれば、私が落ちたと思っているのかもしれない。
私が美味しいレストランの話を振って、彼の食事の誘いに乗っただけなのに。

食事の後、ホテルの部屋に入ると、彼はいきなり後ろから抱きついてきた。
私の胸を力強く鷲掴みにした。
積極的なのは悪くないが、表情が見えないのでは意味がない。
顔を振り返り、唇を重ねた。
すると彼はすぐに舌を差し入れてきた。
前の男とは違い、荒々しい絡ませ方だった。

「いつも胸を見せつけてきて……やりたいんだろ?」
彼の表情を見ると、自信と怯えが混じり合っていた。
虚勢を張って、オラオラ系を演じているのだろう。

私はそんな彼に、どう返せばいいのか一瞬考えた。
「そんな……そんなつもりじゃ……」
結局、弱い女性を演じることにした。
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