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誰にも言えない、紗也香先生
第8章 審判不在
──部屋の照明がほんの少し暗くなると、
今度は天井から伸びる二本のロープが、私たちを静かに迎えた。

サヤとリザ、ふたりは少し距離を空けて向かい合う。
つま先だけが床に触れたような、微かな立ち姿。
腕は頭上に引き上げられ、ロープに縛られていた。

私の身体は、何も纏っていない。
その滑らかな肌の上を、赤い縄が斜めに交差して走っている。
胸も、腰も、太ももも、その縄によって美しく締めつけられていた。

一方、リザはOLのタイトなシャツにスカートというまま、
その服の上から同じように赤い縄で縛られていた。
布越しに食い込む縄は、リザの身体のラインを逆にくっきりと浮かび上がらせている。
服の下、彼女もまた私と同じように、震える“秘密”を仕掛けられているのがわかった。

アリスがゆっくりと語る。
「次の勝負は、“音”です。声を出した方が、負け」

部屋は静寂に包まれていた。
動かせるのは目だけ──
私はリザの目をじっと見つめる。

静かな空間の中、
身体の奥をくすぐるように響く微かな振動が、じわじわと上がってくる。
息が止まりそうな快楽が波打ち、それでも私は耐えた。
リザも、ぴくりと睫毛を揺らしながら、耐えていた。

どれほどの時間が経ったのだろう。
私の脚はもう限界に近く、つま先が震え始める。
リザも同じ、眉が寄っている。

そのときだった。

「……あ」

ごく小さく、リザの喉が震えた。
震える唇から漏れた、ひとつの甘い“音”。

その瞬間——
「勝負あり!」
と、アリスの明るい声が響いた。

リザの肩が、すっと力を抜いたように下がった。
私はまだ吊られたまま、荒い呼吸のなかで勝利の余韻を味わっていた。

「サヤ様、勝利です。
さて、罰ゲームは……リザ様のスカートからにしましょうか」

アリスの指が、すでにリザのウエストに伸びていた。
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