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誰にも言えない、紗也香先生
第8章 審判不在
部屋の中央、リザと私は立たされたまま――
背筋をまっすぐに保ち、**後ろ手にはしっかりと縄、身体には美しい菱模様**の縛り。
肌に食い込むその交差は、痛みというより、まるで**緊張のリボン**。

そして、ふたりの間を繋いでいるものがあった。
下の花を繋ぐのは、深紅のU字型。
口元に押し込まれているのは、細長いI字型の双頭器。

先に落とした方が、負け。

アリスは、胸元までボタンを外したシャツに白いエプロンだけという、いたずらな装いで、
私たちの前に立っていた。

「今回は……本気で決めてもらうわよ?」
手には、赤く燃える蝋燭が握られていた。

「口からアレが落ちたら、負け。
でもね……今回は、“あえて”攻めない。
私がするのは、ほんの一滴、熱い罰だけ♡」

その言葉の直後――

ぽたり。

最初の一滴が、リザの肩へ。
次の一滴が、私の鎖骨をかすめた。

「ッ……!」

声を出せない。出したら、口が緩む。
I字型が……落ちてしまう。

熱く、鋭い快感と苦痛のあいだ。
でも、すぐ隣にいるリザの震えが、私の震えと重なって、
繋がっているU字が、かすかに……中で動く。

「ん……っ……!」

それが、まるで合図みたいに――
身体の奥から疼きが溢れそうになる。

アリスは楽しげに蝋燭を傾け、もう一滴……そしてもう一滴。
床に落ちる前に、熱は私たちの肌を這い、
唇は……限界に近づいていく。
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