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夜をほどく
第12章 夜明けの代償
その夜――スマホの着信が震えた。

《会いたい》

声ではない。ただの文字。
でも、そのたった三文字に、また全身が反応してしまう。
指先が、心が、すべてが「彼のもの」になってしまっていた。

けれど、その瞬間、後ろから夫の声が響いた。

「誰から?」

咄嗟にスマホの画面を伏せた自分に、紗江は初めて、"罪"を実感した。
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