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幸せのカタチ
第1章 プロローグ

そして、4年の歳月が流れた。
私はこの4年間ずっと自分を責めていた。
何故、あの時半年も連絡をしなかったのだろうか。
その事が悔やまれてならなかった。
この後悔の自責の念に私は苦しんだ。
その苦しみは4年間も続いたのだ。
倫也が居なくなってから私は何度かひとりの誕生日を迎え、気づけば還暦になっていた。
還暦になった時、もう自分は女としては終わったと感じたのだ。
もう、恋愛などしないだろう。
そう、思っていた。
しかし、人生とは何と摩訶不思議な事だろうと感じてしまうのだ。
この年齢になってもSNSでかなりのDMが届くのだ。
私はこの4年間で色々な心の勉強をしてきた。
そこで分かったのは何故、倫也が若くして亡くなったのかという事だった。
倫也は私に大いなる悲しみを与えてくれた。
今まで私は自分だけがこんなに辛く、悲しく、苦しい思いをしているのだと思っていた。
だが、それは違っていたのだ。
私よりも悲しく、辛く、苦しい思いをしている人達がこの世には沢山いるのだ。
それを知った時、何かが吹っ切れた。
私は完全に精神的にも肉体的にも回復していった。
自分がまた恋愛をして、幸せになることが倫也にとって最大の供養になるのだと感じたのだった。
でも、この歳でまた出逢いなどあるのだろうか。
そう、思ったのは言うまでもなかった。

