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幸せのカタチ
第1章 プロローグ

「あの、倫也さんと連絡が取れないのですが何かあったのでしょうか?」
それを聞くと倫也の姉は少しだけためらいながらこう言ったのだ。
「倫也は昨日亡くなりました…」
「え?…」
私はこれ以上の言葉を返すことが出来なかった。
何が何でも亡くなった理由を聞きたいと思ったのだ。
「お姉さん、倫也さんは何が原因で亡くなったんですか?」
「交通事故よ…昨日の事だったわ。突然警察から連絡が来て分かったのよ…」
私はその事実を聞くと頭が真っ白になるのを感じていた。
「で、お姉さん、倫也は今どこにいるんですか?会いに行きたいんです…」
「行くのはやめた方がいいわ、損傷が激しくてショックで見られないと思うから…」
私は倫也に会いたかったのだがこう言われてしまったので会いに行けなくなってしまった。
「お姉さん、これからどうするんですか?」
「葬儀はやらないことにしてるから…」
「え?」
「ところで、あなたは倫也とどう言う関係なの?」
「はい、お付き合いをしていました…」
「良かったわ、倫也にも彼女がいたのね…少し安心したわ…」
その後、倫也の姉から連絡が来ることはなかった。
何度か倫也の姉に電話をしたのだが、電話に出る事はなかった。
私は倫也の葬儀にも出る事も出来ず、最期のお別れも出来なかったのだ。
当時、倫也は53歳だった。

