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雨にほどける
第5章 濡れたまぶたと夜のゆらぎ

――肌が、熱を持っている。
いつからこんなに、ひとつひとつの感覚が鋭くなったのだろう。
手のひらの温度、髪に触れる指、そして、唇が這うそのたびに。
涼の吐息が、耳の奥にしみ込んでくる。
近くて、遠かった人。
触れられるたびに、時間が巻き戻されていく気がした。
「澪ちゃん、こっち、見て」
ゆっくりと顔を向けると、灯りの下で涼の瞳が揺れていた。
まっすぐに見つめられて、私は呼吸の仕方を忘れそうになる。
「好きよ。ずっと、忘れたことなんてなかった」
その言葉に、喉の奥が詰まった。
声に出せば、壊れてしまいそうで、ただ、首を縦にふる。
次の瞬間、唇が重なり、世界が溶けていった。
――シーツの上、ふたりの体温だけが確かだった。
涼の手が、私の頬を撫で、胸元へと滑る。
指先が乳房の輪郭を描くたび、鼓動がせり上がってくる。
羞恥と歓びが、交互に身体を満たしていく。
何も隠せなくなるのが、怖い。でも。
「もっと、触れていい?」
涼の声は、ひどく優しかった。
私はこくりと頷いて、手を伸ばした。
触れたい。確かめたい。
あの夜のキスの続きを、いま、ここで。
涼の背中に腕を回すと、彼女が少しだけ息を呑んだ。
それが愛おしくて、何度も唇を重ねた。
髪に指をとおし、背中に爪を立てると、涼の声が小さく漏れる。
ふたりだけの音が、夜の雨に混じって部屋を満たしていった。
「澪ちゃん……綺麗よ、全部」
その言葉に、胸がほどける。
濡れたまぶたを閉じれば、涼の指がそっと睫毛をなぞった。
――もう、怖くない。
たとえこの夜が終わっても。
ふたりでほどいたものは、決して失われないと、思えたから。
いつからこんなに、ひとつひとつの感覚が鋭くなったのだろう。
手のひらの温度、髪に触れる指、そして、唇が這うそのたびに。
涼の吐息が、耳の奥にしみ込んでくる。
近くて、遠かった人。
触れられるたびに、時間が巻き戻されていく気がした。
「澪ちゃん、こっち、見て」
ゆっくりと顔を向けると、灯りの下で涼の瞳が揺れていた。
まっすぐに見つめられて、私は呼吸の仕方を忘れそうになる。
「好きよ。ずっと、忘れたことなんてなかった」
その言葉に、喉の奥が詰まった。
声に出せば、壊れてしまいそうで、ただ、首を縦にふる。
次の瞬間、唇が重なり、世界が溶けていった。
――シーツの上、ふたりの体温だけが確かだった。
涼の手が、私の頬を撫で、胸元へと滑る。
指先が乳房の輪郭を描くたび、鼓動がせり上がってくる。
羞恥と歓びが、交互に身体を満たしていく。
何も隠せなくなるのが、怖い。でも。
「もっと、触れていい?」
涼の声は、ひどく優しかった。
私はこくりと頷いて、手を伸ばした。
触れたい。確かめたい。
あの夜のキスの続きを、いま、ここで。
涼の背中に腕を回すと、彼女が少しだけ息を呑んだ。
それが愛おしくて、何度も唇を重ねた。
髪に指をとおし、背中に爪を立てると、涼の声が小さく漏れる。
ふたりだけの音が、夜の雨に混じって部屋を満たしていった。
「澪ちゃん……綺麗よ、全部」
その言葉に、胸がほどける。
濡れたまぶたを閉じれば、涼の指がそっと睫毛をなぞった。
――もう、怖くない。
たとえこの夜が終わっても。
ふたりでほどいたものは、決して失われないと、思えたから。

