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この歳で出会った一番の…
第5章 エピローグ

3月で今の病院での奨学金返済、つまり彼女の3年間のお礼奉公は終わる。
4月からは、郷里に戻るという。
ここからは、ずっと離れた場所だ。
両親の近くの病院に就職が決まった、と言っていた。
外来なので夜勤から解放されるし、社会医療法人がやっている総合病院で、お給料もすごくいいそうだ。
「ありがとう、いっときの夢をみさせてもらったよ」
感謝の言葉を彼女に伝える。
最初の日のように、ぼくのクルマの後部座席に並んで座った。
行き交うクルマのテールランプが、赤い星のように流れて行く。
ぼくみたいなオジさんと彼女の未来は無い
「もう、会わない方がいいよね」
ぼくは振り切るように、そう言った。
ぼくの本心は違ったが、彼女のことを考えると、こんなオジさんと関係を続ける行為はムダ以外の何物でもない。
今の職場の退職の準備、
仕事のひきつぎ、
引っ越しの準備もだいたい終わったよ。
これからは、結婚を前提とした彼氏探しをがんばる…と彼女は言った。
「もう、会うことは無いのね…」
彼女の言葉が詰まり、嗚咽のような吐息が聞こえた。
驚いて彼女を見ると、ぽろぽろと涙を流しているのだ。
これには、ぼくも、さすがにグッと来た。
たまらず、彼女を抱きしめた。
ぼくにしがみついてきた、彼女の細い肩が震えている。
「大丈夫?」
最後に、彼女を気遣うように、ぼくは言った。
「うん、大丈夫」
「環境がかわるから、頑張りすぎないでね」
涙を振り切るように、彼女は笑顔を見せた。
美しい
やっぱり、女神だ
ぼくは、今の彼女の姿を目に焼き付けようとしていた…
(おしまい)
4月からは、郷里に戻るという。
ここからは、ずっと離れた場所だ。
両親の近くの病院に就職が決まった、と言っていた。
外来なので夜勤から解放されるし、社会医療法人がやっている総合病院で、お給料もすごくいいそうだ。
「ありがとう、いっときの夢をみさせてもらったよ」
感謝の言葉を彼女に伝える。
最初の日のように、ぼくのクルマの後部座席に並んで座った。
行き交うクルマのテールランプが、赤い星のように流れて行く。
ぼくみたいなオジさんと彼女の未来は無い
「もう、会わない方がいいよね」
ぼくは振り切るように、そう言った。
ぼくの本心は違ったが、彼女のことを考えると、こんなオジさんと関係を続ける行為はムダ以外の何物でもない。
今の職場の退職の準備、
仕事のひきつぎ、
引っ越しの準備もだいたい終わったよ。
これからは、結婚を前提とした彼氏探しをがんばる…と彼女は言った。
「もう、会うことは無いのね…」
彼女の言葉が詰まり、嗚咽のような吐息が聞こえた。
驚いて彼女を見ると、ぽろぽろと涙を流しているのだ。
これには、ぼくも、さすがにグッと来た。
たまらず、彼女を抱きしめた。
ぼくにしがみついてきた、彼女の細い肩が震えている。
「大丈夫?」
最後に、彼女を気遣うように、ぼくは言った。
「うん、大丈夫」
「環境がかわるから、頑張りすぎないでね」
涙を振り切るように、彼女は笑顔を見せた。
美しい
やっぱり、女神だ
ぼくは、今の彼女の姿を目に焼き付けようとしていた…
(おしまい)

