この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
真昼の幽霊
第2章 とける

「ん」
「おふよ~」

 ふと周りを見るとまたも何かを口にしている男が目に入る。男が頬張るたびに紙の包みがかさりと音を立てている。ローテブルには赤い箱と細い何か。

「あ、それ」
「ハンバーガー頼んじゃった!」
「……ふーん」

 ちらちらと男が食べる様子を見てしまう。彼は何を思ったのか、ストローをドリンクから引き抜くとまだ手を付けていないハンバーガーに突き刺した。

「ん、ゆーちゃんにお供え~。一緒に食べよ」

 不恰好にストローが刺してあるハンバーガーを鼻先に捧げられている。

「はぁ?ストローって……そんなので……あっ、」

 不思議なことにハンバーガーの香ばしい匂いが鼻をかすめ、たまらず一口齧ってみる。タローが捧げているハンバーガーに見た目の変化はないが、いつかの味が口いっぱいに広がっていた。顔がどこもかしこもゆるんでいく。

「おいひぃ……」

 懐かしさに涙が出そうだった。もう一口もらおうと口をあけたがハンバーガーが逃げていき、かわりに男の顔が近づく。笑っているが眉を八の字にしているタローを静かに見つめる。

「はは。……ゆーちゃん成仏したらヤダから、もうあーげない」
「うぅっ!酷い!!」

 ふと、外から犬の鳴き声が聞こえてきた。ベランダに繋がる掃き出し窓へ目をやるとあたりはすっかり暗い。
 そして、ガラスには男の姿しか反射されていないのが分かり、少しだけがっかりしたような気持ちになったのが悔しくて、わちゃわちゃとタローが手に取るハンバーガーを追いかけ夢中で動き回った。

「ねぇ、パンツはいてないの忘れてない?」
「!!!!きゃーーー!!見ないで!!!!」

 幽霊になってから初めての騒がしい夜だった。
/31ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ