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真昼の幽霊
第6章 地獄行き

タローの肩に寄りかかって、トンネル内を照らすオレンジのライトをぼんやりと見つめる。一番後ろの席の隅っこ。バスの中は私たち以外の乗客はいない。
何だか別世界にでも行きそうな感じだ。
今日、良太から聞いた話をタロー聞こうか悩む。視線を彷徨わせていると、広告が目に入る。あそこに載っている俳優はさっき聞いた主演ドラマの人。
「ふふ。成仏する前にドラマ観ないとね」
「え」
窓枠に肘をついて外を眺めていたタローが勢いよくこちらを振り返る。彼はスラックスのポケットから白いマスクを取り出してつけた。
エンジン音にかき消されそうなほど小さな声で囁く。
「満足させないから」
タローが平然と席に手をついた。
そこは私の太ももの間であり彼の手首が股をぐっと押す。腕時計の金具がぐりぐりとジーンズ越しにクリのあたりを刺激する。
「ぁっ」
口元を押さえて、じろっとタローを睨む。
――クックッ
「ん、ん、」
バスが信号待ちで停車する。
座席に伝わる小刻みなエンジンの揺れに合わせて何度も恥丘ごと撫で押さえつけられる。両手で腕を掴んでもびくともしない。ふっと抵抗をやめて力を抜く。人魂化して逃げればいいだけだ。それに気づいたのかタローが窓枠に頬杖をつき、こちらを静観している。目がゆっくり意地悪く細まっていく。
「人魂になったら、捕まえてずっと舐めてあげる」
選択権はあくまでこちらにあげる、とでも言いたげだ。
「あと8駅」

