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ぬれて、あふれて、きょうもまた  ~気づかされた悦びに溺れ~
第4章 気が遠くなるほど愛されて
 ふたりしてどのくらい眠ったのだろう。
 真夏の陽はまだ高いところにあった。

 優美が眼を覚ますと、「お水飲む?」と言った智之はヘッドボードのペットボトルから口移しで水を飲ませてくれた。

(こんなことまたしてもらえることがあるのだろうか…)

 そう思ったとたんに、涙がまた出た。
 優美の口からこぼれた水を吸ってから智之はあふれた涙も掬い取ってくれて、そのまま唇が重ねられた。
 涙の味がして、優美は少し笑った。

「泣かなくていいんだよ」
「うん…」

 力を込めて抱きしめられた優美の口から思わず切ない声が洩れる。

「ああ… あなた…」

 〝あなた〟と呼ばれることに智之は少し不思議を感じていたが、敢えてそれを尋ねることはなかった。

「いっぱい愛して…」
「うん、いっぱい、いっぱい愛してあげる、愛してるよ… ゆみ…」
「うれしい… うれしい…」

 小さな胸が押しつぶされるほどきつく抱きしめ合い、優美の手は智之の背中をさまよっていた。

 両脚を智之に絡ませた優美はその太腿に、彼の固くなった昂(たか)まりを感じた。

「ほしい… あなたがほしいの…」
「ぼくも…」

 うなずきながら耳元でそう応えた智之は、優美の脚を開かせると手を添えることなく、その間に割り入ってきた。
 固くなっている彼が来るのを迎えるように優美の脚が開いて膝が大きく曲がる。

 お互いのあふれる潤いが、ふたりがつながるのを妨げることはなかった。
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