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社長は彼女の“初めて”を知っている
第1章 仮面の女

「……初めてか?」
加賀見さんが、低く呟いた。
「……お子様のチューかと思った」
「えっ?」
一瞬、言葉の意味が理解できなかった。
でもすぐに、からかうような視線に気づいて、私はむきになって言い返した。
「キスぐらい、ありますよ。」
ほんとは──今のが、ファーストキスだった。
恋愛経験どころか、キスすら未経験で。
ずっと“そういう女”を演じてきたくせに。
まさか事務所の社長と。
車の中で、練習という名のもとに、こんなふうに唇を重ねるなんて──
(……なにやってるんだろ、私)
強がった言葉とは裏腹に、胸の奥が少しずつ沈んでいく。
しぼんだ風船のように、自分がどんどん小さくなっていく気がした。
加賀見さんが、低く呟いた。
「……お子様のチューかと思った」
「えっ?」
一瞬、言葉の意味が理解できなかった。
でもすぐに、からかうような視線に気づいて、私はむきになって言い返した。
「キスぐらい、ありますよ。」
ほんとは──今のが、ファーストキスだった。
恋愛経験どころか、キスすら未経験で。
ずっと“そういう女”を演じてきたくせに。
まさか事務所の社長と。
車の中で、練習という名のもとに、こんなふうに唇を重ねるなんて──
(……なにやってるんだろ、私)
強がった言葉とは裏腹に、胸の奥が少しずつ沈んでいく。
しぼんだ風船のように、自分がどんどん小さくなっていく気がした。

