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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第13章 一気呵成のカタルシス
葵との夜のまま──その言葉が零れた瞬間、楓の目がわずかに見開かれた。

驚きと、何かを面白がるような光がその瞳の奥で交錯する。

「……へぇ。六年間、ご無沙汰なんだ?」

大きすぎる胸を支えるように腕を差し入れ、頬杖をついた楓。

掌に預けた肘の先、細い指先が唇の端をなぞる。

無防備に見える動きなのに、そのたびに胸は形を変えてふわりと持ち上がり、艶やかな口元と相まって、裕樹の喉をからからに渇かせた。

「そんなに"うぶ"なくせに……」

微笑みを含んだ声。

「プレーパークの夜は、葵ちゃんとすごく積極的にしてたんじゃない? 初めてなのに、露出までさせて……ボロボロになってる葵ちゃんを、さらに求めちゃったりして。」

裕樹は思わず背筋を強張らせる。

記憶が鮮明に蘇り、喉が勝手に鳴った。

「そんな大胆なことができたなら、好きな子ができたとき、襲っちゃえばよかったのに?」

楓の挑発的な笑みに射抜かれ、裕樹は下を向き、苦笑いを漏らした。

「……葵ちゃんには、本当にいろんな体験をさせてもらったから、すごく感謝してる。反面、申し訳ないことをしたなって思ってるんだ。」

裕樹の少し曇った表情を見て、楓は優しく見守るように耳を傾けていた。

「葵ちゃんは否定も肯定もしなかった。だから僕は、葵ちゃんに無理をさせてしまったんじゃないかって。あの日の夜だって、葵ちゃん家のココちゃんを見つけ出したから、その見返りに頑張ってくれただけで、きっと嫌だったんだろうなって……。」

それは、懺悔室での告白のような吐露だった。

「それは……社会人になった今も後悔してるってこと?」

楓は落ち着いた声のトーンで問いかける。

裕樹は、小さく「うん」と頷いた。

「アキくんって……」

楓は思わず笑いそうになりながら、呆れと驚きが混じった視線を向けた。

その視線が示すものを、裕樹はまだ分かっていなかった。
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