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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第18章 混り合う澱のひとしずく
ナツは廊下の左手にある、二階へ続く階段へと進んでいく。

裕樹はキッチンを通り過ぎる寸前、置き去りのレジ袋を思い出し、手提げを指先にかけた。

ナツの背中を追って、薄暗い階段を上がると、なだらかな勾配の天井が広がっていた。

白樺を思わせる清潔な木材のカウンターがあり、椅子がいくつか置かれている。

その向こう側にはダブルサイズのベッドが二台、半ば隠れるように並んでいた。

ベッドの足元は壁一面のガラスになっていて、レースカーテン越しの外光が、室内全体を淡く満たしていた。

ハンドルにスカーフを結んだナツのトートバッグが置かれたカウンターに、裕樹は持っていたレジ袋を隣に並べた。

上質なベッドの寝心地を確かめるように、倒れるようにして体を投げると、絶妙な反発力で体が跳ねた。

「え、これってもしかして……」

うつ伏せになった裕樹の背後で、ナツがカーテンを開ける。

「ねえ、これすごくない?」

ナツの驚く声に引かれて、裕樹は寝返りを打ってその方向を見る。

その瞬間、裕樹は思わず息を呑んだ。

開け放たれたレースカーテンの向こうには、正方形の露天風呂と、その先にガラスの柵越しのオーシャンビュー。

ナツが窓を開けると、湿った夜の匂いと心地よい風が入り込み、カーテンを揺らす。

海面に煌めく月光と、ベランダの四隅に灯る街灯。

それらの光は、裕樹とナツに向けられたスポットライトのようで、言い知れぬ気恥ずかしさがあった。

(誰も見ていないはずなのに……。この場所でエッチしたらすごい興奮するんだろうなぁ……。)

しばらく海を眺めていたナツは、窓を閉めて、裕樹の座るベッドに腰を掛ける。

「さっき撮った写真……見る?」

「いや、俺はいいよ別に……。」

ナツは上機嫌な様子でカメラを操作していて、その柔らかな肩が触れる。

先ほど脚を広げてしまった時の自分の姿が、裕樹の脳裏に浮かび、再び火を灯したように顔が熱くなる。

「どうして?ほら、これとかすごいエロく撮れてるよ?」

そこには──

まさに今、思い出していたソファの上で無防備に脚を開く自分自身の姿があった。

興奮なのか生理現象なのか、自分でも分からないほどいきり勃った肉棒まで映り込んでいた。

ここに写っているのは赤の他人。

そう思いたくなるほど一目瞭然の弱みを突きつけられ、裕樹は思わず顔をしかめた。
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