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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第1章 青天の霹靂
裕樹はなんとか冷静さを取り戻し、急いで身なりを整えて教室へ戻った。

席替えの日だったため、教室はざわざわと落ち着かない空気に満ちている。

歓声と落胆が入り混じり、遅れて入ってきた裕樹に気付く者は誰もいなかった。

「兎谷、まだだな。早く引け」

担任に促され、くじの箱へ手を入れる。
残っている紙は三枚。そのうち二人は欠席なので、実質最後の選択だった。

引いた番号は──27。

座席表を確認すると、一番右後ろの席の"すぐ横"だった。

(……一番後ろか。ラッキー)

リュックひとつを肩にかけ、そそくさと移動する。

誰がどこに座ったのか、ざっと目を走らせていると──

一番右後ろの席には、葵がいた。

そして裕樹の席は、そのすぐ隣。

(……マジかよ)

胸の奥で何かが跳ねた。

先日、駅前で胸を見ているのを指摘されたばかりだというのに、裕樹はまた無意識に葵の胸元へ視線を吸い寄せられていた。

葵がゆっくりと横を向く。

その動作だけで、豊かな膨らみがふわりと揺れる。

「なに?」

ただの一言なのに、その声はひんやりとした夏の冷気のように落ち着いていた。

(…やべっ、おっぱい見てたの、バレた?)

「なにも……」

悟られないように返したつもりだったが、ぎこちなさは隠せない。

裕樹はバツの悪さを抱えたまま、静かに席に腰を下ろした。

葵は特に気にした様子もなく前を向いた。
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