この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
四谷荒木町の女〜再会の熱い夜
第4章 男の疑惑と女の思惑と

「すごかった。良かったわ」
裸で抱き合い、気だるい余韻に浸っていると、女がぽつりとつぶやいた。何も言わずに、肩を抱き寄せる。
……そういえば。
急に彼は思い出した。
……聞くべきか。それとも聞かないほうがよいのか。
迷った挙句、口を開いた。今、聞かなかったら、あとで後悔するに決まっている。
「きみのうなじとお腹にほくろがあるんだ」
「えっ。あ、ああ。それがどうかしたの?」
「うん」
言い淀んでから、核心に切り込んだ。
「しのぶにも、本物の彼女にも、同じ場所にほくろがあったんだよ。きみを抱いていたら、思い出したんだ」
急に黙り込んだ女へ、さらに、
「やはりきみは、しのぶじゃないか? そんな偶然はあり得ないと思ったんだが、今はわからなくなった」
「……わたしは……わたしの名前は、美和よ」
「うん。だが、名前を聞いたとき、きみは……」
言いかけたその時、抱いている彼の腕から抜け出した女が身体を起こした。
「悪いんだけど、帰ってくれる?」
固い声でそう言った。横を向き、目を合わせようとしない。
裸で抱き合い、気だるい余韻に浸っていると、女がぽつりとつぶやいた。何も言わずに、肩を抱き寄せる。
……そういえば。
急に彼は思い出した。
……聞くべきか。それとも聞かないほうがよいのか。
迷った挙句、口を開いた。今、聞かなかったら、あとで後悔するに決まっている。
「きみのうなじとお腹にほくろがあるんだ」
「えっ。あ、ああ。それがどうかしたの?」
「うん」
言い淀んでから、核心に切り込んだ。
「しのぶにも、本物の彼女にも、同じ場所にほくろがあったんだよ。きみを抱いていたら、思い出したんだ」
急に黙り込んだ女へ、さらに、
「やはりきみは、しのぶじゃないか? そんな偶然はあり得ないと思ったんだが、今はわからなくなった」
「……わたしは……わたしの名前は、美和よ」
「うん。だが、名前を聞いたとき、きみは……」
言いかけたその時、抱いている彼の腕から抜け出した女が身体を起こした。
「悪いんだけど、帰ってくれる?」
固い声でそう言った。横を向き、目を合わせようとしない。

