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四谷荒木町の女〜再会の熱い夜
第4章 男の疑惑と女の思惑と

もっと聞きたいことはあった。しかし、こんな態度を示した女へしつこく食い下がるのは無駄であると彼は知っている。
……残念だが、大人しく退散しよう。
「すまない。変なことを聞いて悪かったね」
ベッドから降り、服を着た。裸身に毛布を巻きつけた女は、むこうを向いたままだ。
「ありがとう。会えて良かった。元気で」
ジッと動かないその背中に声をかけ、しばし迷ってから、三枚の一万円札を財布から抜き出し、小さなデスクの上の、ノートパソコンの横へ、そっと置いた。
彼が出入り口のドアを開け、閉めるまで、女はとうとう何も言わなかった。
階段を降り、店のドアの鍵を開け、外に出る。街のざわめきと生ぬるい夜気が彼を包む。暑くもなく寒くもない。セックスで汗ばんだ身体にはちょうどよい。
歩き出してから、ゆっくりと振り返った。スナックのドアは閉まったままだ。もしかしたら、という甘い期待は外れた。
諦めが肝心と思い直し、再び彼は、駅へ向かって歩き出した。
……さようなら。もしかしたら、しのぶだったかもしれない貴女へ。どうぞ元気で。
後ろ髪を引かれながらも、心の中で、別れを告げた。
……残念だが、大人しく退散しよう。
「すまない。変なことを聞いて悪かったね」
ベッドから降り、服を着た。裸身に毛布を巻きつけた女は、むこうを向いたままだ。
「ありがとう。会えて良かった。元気で」
ジッと動かないその背中に声をかけ、しばし迷ってから、三枚の一万円札を財布から抜き出し、小さなデスクの上の、ノートパソコンの横へ、そっと置いた。
彼が出入り口のドアを開け、閉めるまで、女はとうとう何も言わなかった。
階段を降り、店のドアの鍵を開け、外に出る。街のざわめきと生ぬるい夜気が彼を包む。暑くもなく寒くもない。セックスで汗ばんだ身体にはちょうどよい。
歩き出してから、ゆっくりと振り返った。スナックのドアは閉まったままだ。もしかしたら、という甘い期待は外れた。
諦めが肝心と思い直し、再び彼は、駅へ向かって歩き出した。
……さようなら。もしかしたら、しのぶだったかもしれない貴女へ。どうぞ元気で。
後ろ髪を引かれながらも、心の中で、別れを告げた。

