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池袋ウエストゲート・ラブホテル〜追われる美女の事情(わけ)
第2章 追われる女

おかしな気がした。関わるのも面倒だ。腕を捉えている女の手を振り払おうとしたその時、ラブホ街の通りの、向こうの角から、一人の男が現れた。遠目で定かではないが、神岡よりも年上の、グレーのジャケットを着た白髪頭の小太りの男だ。小脇に抱えた黒いクラッチバッグがダサい。周囲を見回し、明らかに誰かを探している。ガニ股の短い足でこちらへやって来る。
女にもそいつが見えたらしい。
「助けて。お願いだから」
繰り返す声に緊張が滲む。捉えた彼の腕に身体をぴったりと寄せてきた。女の体温と緊張が伝わってくる。ほのかに甘い香りがした。
その男からは、神岡がいる場所は電柱の影になっている。だからまだ気づかれていない。通りの途中に脇道は無いので、いずれここまで来る。逃げるには遅すぎた。
……どうする?
対峙するのは面倒この上ない。女の様子は演技には見えない。少なくともトラブったのは事実だろう。
女にもそいつが見えたらしい。
「助けて。お願いだから」
繰り返す声に緊張が滲む。捉えた彼の腕に身体をぴったりと寄せてきた。女の体温と緊張が伝わってくる。ほのかに甘い香りがした。
その男からは、神岡がいる場所は電柱の影になっている。だからまだ気づかれていない。通りの途中に脇道は無いので、いずれここまで来る。逃げるには遅すぎた。
……どうする?
対峙するのは面倒この上ない。女の様子は演技には見えない。少なくともトラブったのは事実だろう。

