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僕の愛する未亡人
第13章 欲しがる未亡人 本間佳織②
十月も半ばを過ぎて、終わりに近づこうとしていた。先週から理央と付き合うようになったが、会社ではこれまで通りを互いに装っている。
そう努めていることを、互いにひしひしと感じていた。

右隣に座る理央が、時折自分を見つめているのがわかる。
――思い出すのは、まだ触れ合うことさえなかった九月の終わり。
彼の視線を感じて、思わず声をかけたあの瞬間――

――あ、いや……ぼーっとしてました、すみません。

あのとき、白い半袖のシャツ姿の理央は、寒くもないのにその場をごまかすように肩をさすっていた。当時はその視線の意味さえも知らなかった。
でも今なら。
彼の視線が自分の肢体をなぞるように動いていた理由がわかる。
職場の女性と食事さえ避ける彼が自分には性的な感情を向けていたこと。
そしてそれは――ただの興味ではなく、恋人としての関係を望むほど、突出したものだったこと。

「――本間さん?」

声をかけられた。はっと顔を上げて右側に振り向くと、退社しようと茶色のビジネスバッグを持った冴子が立っている。
もう一度正面に向き直り、パソコンのディスプレイで時刻を見ると、十九時。


(いけない……ぼーっとしてた)


隣の理央も、とうに帰っていたらしい。そして、平日のど真ん中。この部屋には社員もほとんど残って居なかった。
佳織が残業をすることなど、珍しくもなかった。

「手、止まってましたけど……大丈夫ですか?」

だが、よっぽどフリーズしていたらしい。冴子が心配そうに顔を覗き込む。
彼女の色気を隠すように第一ボタンまで留められた胸元が、佳織の目に入る。
ふわりと流れるウェーブのかかった髪の隙間から、赤く色付いた石のついたフック型のピアスが揺れる。さらに、自然と、冴子の目元のほくろに視線が流れた。

その瞬間、胸が高鳴る。
それは、冴子の纏う色香のせいだけではなかった。
いつもの柑橘系の香りと違う、甘く、重たい、肌にまとわりつくような――彼女でなければ、会社につけてくるには似つかわしくない匂いが鼻先を掠める。
知らない香りに、胸をざわつかせる。

「あ……集中力切れちゃった。あたしも帰ろうかな。駅まで、一緒に行かない?」

「いいですよ。更衣室、行ってますね。中で待ってます」

冴子はふっと笑って、部屋を出た。
佳織の側には、スカート越しの脚線や、甘い香りの気配だけが残っていた。
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