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僕の愛する未亡人
第14章 欲しがる未亡人 本間佳織③
「ご、ごめん」

リュックを前に背負う理央に体を押し付ける体勢になる。
吊革に捕まる理央は、佳織の腰を自然と引き寄せた。
恋人だからこそ、できることだった。その距離感にどきんと胸が高鳴る。
ただでさえも、昨夜から冴子のせいで妙な昂ぶりが収まらない。
香りも声も、昨夜の冷たい手の甲も、妙に艶かしい脚線も――思い出すたびに、体の奥がぞくぞくする。
――だが、平静を装って、佳織は上目遣いで理央に尋ねる。

「ご飯……食べてく?」

「いいの?! やった」

理央の喜びを他所に、佳織の頭にはある良からぬ感情が芽生えたのだった。

――しばらくしてガタン、と電車が止まる音に、佳織は我に返る。
理央の腕に少しもたれたまま、佳織の最寄り駅に到着した。
周囲の人々がざわめき、扉が開く音が響く。
佳織は心臓の高鳴りを押さえつつ、ゆっくりと理央から体を離した。

「本間さんの家、久しぶりですね」

理央が無邪気に笑う。本当に嬉しそうなその声に「うん」とだけそっけなく返した。
だが胸の奥では、何かが小さく疼いていた。
今朝、冴子の指が触れた場所を思い返す。
エントランスを抜け、部屋に着く。
誰の気配もなかった。息子の岳は――今日は残業をするのだそうだ。
それを理央には伝えていなかった。

「息子さん、まだなんですね」

理央の言葉には少し緊張感があった。予想もせぬ、二人きりの空間だからだろう。

「残業、少ししてくって連絡あった。岳に、佐藤くん来るって連絡しておく」

「え、大丈夫ですか……」

「いいよ。一旦、荷物、あたしの寝室に置いてくれるかな」

佳織は淡々と答える。理央は戸惑いながらも、頷き、靴を脱いで佳織に促されるまま、寝室に通される。
佳織の使う、柔軟剤や、香水の匂い。
あまりにも官能的な空間だった。そして――夫と死別した佳織にとっては、あまりに広すぎるダブルベッド。
佳織はコートとジャケットを脱ぎ、ウォールラックのハンガーにそれをかける。
理央はリュックをベッド脇にそっと置くと、振り返った。
佳織がこちらを見ていて、理央のジャケットを受け取る。
その表情には笑みも怒りもなく、ただ、何かを抑え込むような静けさがあった。
ハンガーにジャケットをかけ終わると、理央の視線を受けながら、彼女は髪を耳にかける。
その仕草ひとつに、理央の鼓動がわずかに速くなる。
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