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僕の愛する未亡人
第16章 欲しがる未亡人 本間佳織⑤
冴子はバスルームから出てくると、髪をかき上げながら、慣れた手つきで壁のスイッチをいじる。
部屋の照明を落とされ、間接照明だけが点り、室内に淡い光が広がる。

理央は慌てて立ち上がる。サコッシュの中からいくつか避妊具を取り出すと、枕元に置いた。ここはシティホテルだから、そうしたものが置かれていない。

佳織の心臓がばくばくと激しく鼓動する。
冴子は布団を剥がして、ベッドの上に膝立ちになった。
バスローブの紐を解くと、惜しげも無く、猫のような柔らかな体を見せつけた。

四十代とは思えない締まった体つき。
だが、その色香は若い女のそれではなかった。

「本間さん……」

冴子は視線を佳織の方へ送る。

「手加減しませんよ。嫌って言ってもやめませんからね」

理央も覚悟を決めたのか、バスローブを脱ぎ捨て、佳織の横にそれを置いた。
下着を身につけていない細い体が顕わになる。

理央は冴子に手を伸ばし、膝立ちのままの冴子の体を抱き寄せた。

「本間さんの前で……嫌じゃ、ないですか」

「あら。心配してくれるの?」

「だ、だって……飯塚さんの、大事な……人なんでしょ」

冴子は理央の腕の中で、ふっと息を吐いた。
その吐息が佳織の方へ流れ、肌の表面を撫でるように触れる。
それを境に、理央と冴子の――二人の世界が少しずつ溶けていくように感じた。自分も、そこに交わろうとしている感覚だった。
冴子がこちらに視線を向ける。

「大事な人の期待には応えないと」

冴子が妖しく微笑んだ。
理央の唇に指先を添えて、ゆっくりとなぞる。

「見られ慣れてるでしょ? 緊張してるの? 佐藤くん」

「だ、だって、今までした人なんて……その日にバイバイだし」

冴子はくすっと笑うと、耳元に唇を寄せて――佳織に聞こえない声で囁いた。

「今日は……ゴム、つけなくていいよ」

「え……」

「佐藤くんの……そのままナカに欲しい」

理央はその言葉に、理性を削られる。
冴子の背を支えると、そのまま体重をかけて押し倒した。
冴子も、理央の首に腕を絡める。

「そんなこと……言われたら……」

「ザーメン……たくさんナカに頂戴」

追い討ちをかけるように、冴子はまた理央の耳元で囁く。
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