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僕の愛する未亡人
第8章 はじめての夜
「もう……恥ずかしい。でも、見られちゃったから、隠すところ、もうないね」

ふふっと佳織が笑って、冴子のTシャツの裾を直す。
佳織はリモコンを再び手に取り、明かりを消した。さすがの冴子も、昨日と今日の行為のせいで疲れきっている。
暗がりに沈んだ寝室には、二人の吐息だけが残る。
佳織も今日のことを気にしているだろう、そう思って壁側を向いて、目を閉じた。
だがその直後、ウェーブのかかった自分の髪に、佳織の手が触れる感触――どきんっと心臓が跳ねた。
それでも疲労に耐え兼ね、うとうとしているが、髪を伝って指先が体に近づいているのがわかる。さらにその指先は首元に触れた。


(本間さん……?)


冴子は今日、自らの体を誰にも触れさせていない。
もし先程のように、佳織が心配して痣を触っているのだとしたら――かなりまずい。

「本間さん、心配してくれてるんですか? 大丈夫ですから」

首の感触の甘く、くすぐったい指の動きを避けるように、冴子は布団の中で振り返る。
佳織の指先が、首元から肩のラインへとゆっくりと滑り、布越しに冴子の柔らかい腕の感触を確かめる。
その動きは、自然な心配の範囲を越えて――いやらしく、甘く、冴子の肌を焦らすようだった。冴子の腰に甘い痺れが広がる。
さらに、右手の親指が冴子の唇をなぞる。思わず冴子は、ため息を漏らした。

「……すごく、気持ちよかった。この唇」

「それはどうも。本間さんにそう思ってもらって……光栄です」

先程理央に言ったように言うが、明らかに動揺しているのがわかる。
親指は、まだ添えられたままだ。

「女性の経験も……豊富なんだね、飯塚さんは」

「いえ……複数でする時に女性がいる時もあるから」

「じゃあ……あたしのは、嫌じゃなかった?」

「嫌なわけ、ないじゃないですか。尊敬する先輩の体なんですよ」

「あんな姿見ても……そう思ってくれる?」

佳織は切れ長の目をさらに細めて、切なそうに尋ねる。

「――本間さん、真面目すぎですよ。佐藤くんのこと止めようと思ったのに、我慢できなくなったんだし。あたしが見たかったんですよ」

そう言うと、唇に添えられた佳織の指がまた首元へ滑る。
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