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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第20章 愛される資格。

 ねぇ、待って。

 今さっき、なんて言ったの!?


「あいっ!?」
「ん、愛しているよ。こんなにひとりの女性を想うのは澪ちゃん、君だけだ……」
「――っつ!!」
 そういう行為の時だけじゃなくて素面でも言われたことが恥ずかしい。
 顔が熱いから、きっとトマトみたいな顔になってるだろう。

「さあ、食べて。はい、あ~ん」

「……うう」
 なんだか上手く丸め込まれたような気がする……。

「あ、ん」
 あたしは渋々口を開けて、運ばれるスープを無心で飲むしかない。
 例によって恥ずかしすぎるあたしは味なんて判らないまま嚥下を繰り返す。


「ねぇ、澪ちゃん」
 どうにか飲み干した後、唯斗さんが口を開いた。
「――ん」
「今夜、澪ちゃんを最後まで抱いたことを兄さんに話してもいい?」
「――っつ!」


 唯斗さんの意見は間違っていない。
 大人として正しい。

 ただ、あたしは怖い。
 たしかに、お父さんは唯斗さんへの気持ちの理解を示してくれた。
 応援もしてくれている。
 だけどそれは、唯斗さんに抱かれる前のことであって、性行為については同意を得ていない。
 もし、お父さんが怒ったら……。
 反対されたら――。
 あたしの気持ちを否定されたらと思うと、すごく怖い。


「あたし……お父さんに嫌われるかもしれない……」

「大丈夫、俺の予想だけれど、澪ちゃんは兄さんに嫌われるようなことはないよ。寧ろ……」


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